ヤカの散録

忘れてしまうあの日のひだ

2023年3月11日◆低く飛ぶ

ちょっと生活さぼりたいようの気持ちがあり、しかしそれは伸びてきた黄色いチューリップを少し切り戻すのと一緒にちょんと切った。水を張ったボウルの中に、斜めに切られたチューリップの茎とずんとした気持ちが沈んでいる。ざばんと流しに流してボウルを濯いで、今日も始めるぞ。

 

洗濯指数を見たら、明日より今日の方が良く乾くらしい。点在するタオルを回収し洗濯機へ放る。ミイさんのワイシャツは襟にワイドハイターを浸み込ませてネットに入れる。洗濯機がぐおんぐおん回転している間に、昨晩そのままにしてしまった洗い物を済ませて干しっぱなしの洗濯物を畳む。洗濯機にピーと呼ばれ、じゃんじゃん干してベランダに出す。朝一にしてはそこそこの動きだ。シュッシュッ。

 

弟から電話があり、最近のBリーグの様子などを聞く。今年の夏にあるワールドカップを観戦しに沖縄まで行くらしく、チケットの手配やら航空券の手配やらを電話口でしている。一人だと後回しにしちゃうから急かして!とのことで、私は手帳を書いたりレシートを整理したりしながら、がんばれい、と気の抜けた声を掛ける。弟は私が幸せに楽しく暮らしてほしいと強く願う人の一人で、彼の深い優しさや勤勉さ、正しくあろうとする誠実な心をお天道様は見ていると信じている。少なくとも、私はずっと見てきた。出無精の彼がワールドカップの観戦に行くと聞いた時は何だか嬉しく、この年齢になって姉馬鹿を自覚してきた。

 

プランナーさんにメールをして力尽きていたが、今日は土曜日。きっとミイさんは疲れて帰ってくるだろうから、夕飯は私が準備したい。天日乾燥わかめの新物があるので、今日はわかめのチヂミでも作ってみるかとレシピを探す。しかし必要な材料がまったく揃っておらず、「わかめのチヂミ」という料理名だけ拝借して雰囲気で作ることにした。磯の香りのチヂミはすり胡麻がよく合って、胡麻油でカリッと焼きあげればいいご飯のお供になる。次はレシピ通り牛挽肉を入れて作ってみたいが、わかめだけでも十分美味しい。

 

ミイさんがもりもり食べてくれるといつも嬉しい。手帳の後ろの方に欄を設けている、最近作った料理コーナーに久しぶりに少し書き足せたのも嬉しい。低くでいいから、こうやって飛んでいたいな。スピッツを心に歌いながら今日も閉幕。よく寝て明日も低く飛ぶのだ。