ヤカの散録

忘れてしまうあの日のひだ

2023年4月10日◆シャボン玉をエンタメに分類する

結局、昨日は軽い昼寝のつもりがしっかりと夕寝をしてしまい、玄関のチャイムが鳴る音に叩き起こされた。ハッと目を開けると部屋の中はもう暗くて、瞬時にすべてを理解した体が勝手に玄関へ走る。ミイさんごめん、おかえりなさい、今日もやってしまった、ごめん。……偶に、予定よりも寝過ぎてしまって、内鍵を開ける前にミイさんが帰ってくる時間になってしまうことがある。寝る前に開けておけばいい、と思わないでもないが、内鍵を開けておくのはどうしても不安だ。目覚まし時計のアラームをセットする、アラームが鳴ったらばちっと起き上がる、何度目か分からない、次こそは。

 

持ち帰った『はてなブログの日記本』をミイさんに手渡し、二人でやったやったと読む。今川焼きを大きくしたような、綺麗なまんまるで角がピシッとしているホットケーキを食べながら、日記祭の話をだーっとする。嬉しくて楽しくて、とても素敵な日だったんだ。メープルシロップが染み込んだホットケーキは、お祝いの味だった。明日は休日だからと油断して眠りに就く。

 

翌朝はのんびりとしたもので、ゴミだけ出してすぐ布団に戻る。ゲームをするミイさんの隣で、私は一晩開けてなお興奮覚めやらぬこの気持ちをそいやそいやと言葉に起こしていく。結果的に四千字を超える大作が完成してしまった。おお。流石に少し削った方がいいかしら、いやしかし、これも私の一日の記録であるよ、と大らかな気持ちでそのまま投稿する。

 

ミイさんが買い物に出てくれて、刺身用の鰯が美味しそうでしかも安かったよ、と言って早速捌いてくれる。キラキラと輝く、晴れの日の海そのもののような背の色が綺麗だ。私はその間、溜まってしまったレシートを家計簿アプリに登録する作業を黙々と進める。日々の買い物の中で分類に困るものに出くわす機会はあまりないのだが、おや、そういえばシャボン玉を買ったのだった。カテゴリ一覧を眺め、シャボン玉をエンタメに分類する。もっと適切なカテゴリがあるだろうかと逡巡したが、いや、シャボン玉はエンタメだろうと納得してミイさんにも報告する。うん、シャボン玉はエンタメだね、と返事をもらい自信を持って作業を続けた。

 

鰯はよく脂が乗っていて甘く、ぷりぷりとしてとても美味しかった。昨日買った日本酒、「おだやか」を早速開けて乾杯。刺身は山盛りあって食べても食べても減らず、贅沢な悩みだ、と思いながら一切れ、また一切れ、と口に運んで酒を飲んだ。結局ぺろりと完食。ミイさんを連れて、魚市場の朝市にも行きたいな。週末の朝、どりゃあと早起きをして、家族揃って近所の朝市に行っていたことを思い出す。この日ミイさんは、おつまみにと砂肝のねぎ炒めも作ってくれた。鰯を捌き、砂肝の下処理をし、とミイさんの料理の腕に更なる磨きがかかる一日だった。やっぱり、ミイさんはすごいや。

 

ところで、ミイさんは昼間の買い物で苺も買っていた。お客様に感謝する祭りが長く続いているのかと思ったら、単純に安く売っていたよ、とのことだった。豆腐も牛乳もあるから、また豆花風を作って苺のソースで食べようと台所に立つ。前回はサラリとしたソースだったので今回はもう少し煮詰めて即席ジャムみたくしようと思い、火を一番小さくしてふつふつ煮詰めてみる。レシピなど一切見ず、煮詰めて水分を飛ばしたらトロリとするだろう、ただそれだけを思ってマグマの子がふつふつぽこぽこするのをぼんやりと眺める。軽く混ぜてみると、手応えが重たくなってきた。頃合いだろうか。

 

ルビーのように深く輝くジャム、のようなものが出来上がり嬉しい。しかし、粗熱を取ろうとしばらく置いておいたらだいぶ固まってしまった。煮詰めすぎだろうか、それとも作り方を間違えたか、と今更レシピを検索し、どうやら単純に煮詰めすぎたようだという結論に落ち着く。苺のソースは煮詰めすぎると、ジャムを経由して飴になることを知った。